アナログビデオデッキの地デジ化の問題 [デジもの]
■概要
アナログビデオデッキをまだお使いではないだろうか?
地デジ対応した、と思っていたが、
実はテレビだけ買い換えて安心してはいないだろうか?
地上アナログ放送が終了すると、アナログビデオデッキは
もちろん使えなくなるが、
こいつを「地デジ簡易チューナー」で繋いでも残念な
結果にしかならない。
私は、そのアナログビデオデッキを使い続ける
よほどの理由がない限り、地デジチューナー内蔵の新しい
ビデオデッキを買った方が無難であるという結論に至った。
■経緯
2011年2月某日。
今年7月にいよいよやってくる地上アナログ放送停止に向けて
自宅のテレビ周りを再確認したところ、
自宅でアナログビデオデッキが現役で活躍中であることに気が付いた。
家族も普通にEPGからタイマーで録画予約とかを
使っていたりして結構便利なのだが、よく考えてみると、
何もしないままでは、地上アナログ放送停止で
全く使えなくなってしまうことには変わりない。
地デジ対応も待った無しに押し迫ってきた感じがするが、
案外、テレビ画面側が地デジで見えていたら安心していて、
すっかり意識の外になっていた。
最初は、
「安い地デジ簡易チューナーでもビデオに付ければ良いかな」
と地デジチューナーがどういうものかさえ考えずに、
漠然と、何とかなるか、ぐらいに思っていた。
しかし、とある電気屋で地デジ簡易チューナーを見たとき
その意味するところを知り、これは様子が違うということに
気が付いた。
ビデオデッキの存在価値の大半を占めているとも言うべき、
番組の予約録画が使えないのである。
■ビデオデッキが放送を受信して予約録画をする仕組み
まず、現在の地上アナログ放送の電波を、
普通のテレビがどうやって映像音声にして見せてくれているかを、
非常に大雑把に描くと次の図1のようになる。
図1. アナログテレビによる地上アナログ放送の視聴
図1はVHFの1Ch~12Chまでのアナログ放送の電波から
特定のChを選択して視聴する例である。
VHF帯には、1Ch~12Chの放送が、常に『同時に』
流れている。
テレビは、視聴するチャンネルを選択することにより、
12個のChのうち、『1つだけ』を、
アナログ放送信号から映像と音声に変換して、
画面とスピーカーに伝えている。
では、今回、私がどうにかしたいと思っている、
アナログビデオデッキはどうなっているのだろうか?
実は、基本的に、ほぼテレビと同じである。
テレビの外部入力端子に繋いだアナログビデオデッキの様子は、
非常に大雑把に描くと次の図2のようになる。
図2. アナログビデオデッキによる地上アナログ放送の受信
やはり、『同時に』流れている12個のChのうち、
『1つだけ』を、アナログ放送信号から映像と音声に変換して、
記録装置に入力して、ハードディスクなりDVDなりに
保存しているのである。
因みに、録画を再生した音声映像は、
ビデオデッキの出力端子から映像と音声のケーブルを経て
テレビの外部入力端子へ入力されているので、
テレビ側で『外部入力(ビデオ入力)』を選択すれば
ビデオデッキの映像・音声が視聴できる。
このとき、テレビ側の放送信号の選局や映像・音声への変換は
使われていない。
さて、予約録画のときは、これがどう動くのだろうか?
非常に大雑把に描くと次の図3のようになる。
図3. アナログビデオデッキによる予約録画
たとえば、録画予約として、
「10:00~11:00の間、3Chを録画したい」
という予約を入れていたとする。
そうすると、ビデオデッキは、
内部の時計が10:00になった時点で、
『同時に』流れている12個のChのうち、3Chを選局する。
(図3の①)
そうすると、ビデオデッキ内で3Chの放送信号が
映像・音声に変換され始める。
続けて、記録装置に、変換された映像・音声を
書き込み始める。
(図3の②)
やがて、ビデオデッキの時計が11:00になった時点で、
記録装置の書き込みを止める。
ここで重要なポイントは、予約の開始時間に、
『同時に』流れている12個のChのうち、3Chを選択する
①の動作である。
地上アナログ波放送が続いている限りは、
アナログビデオデッキは、予約時間になると、
複数あるのChの中から、指定のChを自ら選局して
映像を記録することが可能である。
■よく見かける『簡易型の地デジチューナ』とは
一方で、地デジ対応のために売られている
『簡易型の地デジチューナ』の正体は一体どのような
ものなのだろうか。
一般的に、アナログテレビを『簡易型の地デジチューナ』
によって地デジ対応した例を図4に示す。
図4. 簡易型の地デジチューナによる地デジ化
地上デジタル放送の信号も、やはり
『複数のCh』が『同時に』流れているので、
地デジチューナはそのうちの1つを選局し、
映像と音声に変換して出力端子へ伝える。
地デジチューナには、選局のための『リモコン』
が大抵付属している。
地デジチューナからの映像・音声は、
テレビの外部入力端子に入力することになる。
従って、地デジチューナによって『地デジ化』を
対応した場合は、以後、アナログテレビ側の選局は
『外部入力(ビデオ入力)』で固定となり、
テレビの選局は『地デジチューナのリモコン』
で行うことになる。
そうすると、この地デジチューナを使って、
アナログビデオデッキを『地デジ化』すると
どうなるのだろうか?
図5を参照されたい。
図5. 簡易型の地デジチューナによるアナログビデオデッキの地デジ化
地デジチューナの映像・音声出力を、
アナログビデオデッキの『外部入力端子』に入力し、
一見すれば何とか地デジの録画はできそうである。
しかし、録画予約の時はどうなるのだろうか?
アナログビデオデッキの予約録画は、予約時間になったら
自身に入力されていたアナログ放送信号の中から
1つのChを選ぶ仕組みなので、
入力が外部入力のみになってしまうと、ビデオデッキの
機能によって選局することができなくなってしまう。
暫定的な解決方法としては、
予め地デジチューナ側の選局を録画したいChに合わせておき、
ビデオデッキ側には、
「10:00~11:00の間、外部入力を録画」
というような予約を入れることである。
これとて万能ではなく、
複数の録画予約が異なるChであった場合は上手く行かない。
地デジチューナ側の選局にも「予約」機能が必要になってくる。
■全Ch同時にデジ→アナ信号変換するチューナはないのか?
それでは、全Ch同時に地上デジタル放送信号を
アナログ放送信号に変換し続けるチューナーは無いのだろうか?
実は、非常に高額な放送業者向けの機器にそのようなものが
存在するが、原理を見るとおおよそ図6のようになっている。
図6. 全Ch同時にデジ→アナ信号変換する
全てのChについて、それぞれ専用の地デジチューナを以って
一度映像・音声にした上で、
1つのChだけのアナログ放送信号に変換(RF変換)している。
もちろん、Ch1つごとにB-CASカードも必要である。
その上で、最後に全てのChのアナログ放送信号を混合し、
複数Chが同時に流れるアナログ放送信号を再現するのである。
ここまでして、ようやく今のアナログビデオデッキに
そのまま入力できる信号が出来上がる。
■結論
以上のように、アナログビデオデッキで、
これまで通りのやりかたのまま予約録画をしようと思うと、
地上アナログ放送停止後に、どうにかして地デジから
アナログ放送の多チャンネル混合電波を再現する必要がある。
が、1個人でやるには敷居が高い。
素直に地デジチューナ内臓の新しいビデオデッキを
購入したほうが無難なようである。
※一部のケーブルテレビなどでは、図6のような
アナログ波を再現して流してくれるところもあるようなので
そういうところを契約するという手もある。
アナログビデオデッキをまだお使いではないだろうか?
地デジ対応した、と思っていたが、
実はテレビだけ買い換えて安心してはいないだろうか?
地上アナログ放送が終了すると、アナログビデオデッキは
もちろん使えなくなるが、
こいつを「地デジ簡易チューナー」で繋いでも残念な
結果にしかならない。
私は、そのアナログビデオデッキを使い続ける
よほどの理由がない限り、地デジチューナー内蔵の新しい
ビデオデッキを買った方が無難であるという結論に至った。
■経緯
2011年2月某日。
今年7月にいよいよやってくる地上アナログ放送停止に向けて
自宅のテレビ周りを再確認したところ、
自宅でアナログビデオデッキが現役で活躍中であることに気が付いた。
家族も普通にEPGからタイマーで録画予約とかを
使っていたりして結構便利なのだが、よく考えてみると、
何もしないままでは、地上アナログ放送停止で
全く使えなくなってしまうことには変わりない。
地デジ対応も待った無しに押し迫ってきた感じがするが、
案外、テレビ画面側が地デジで見えていたら安心していて、
すっかり意識の外になっていた。
最初は、
「安い地デジ簡易チューナーでもビデオに付ければ良いかな」
と地デジチューナーがどういうものかさえ考えずに、
漠然と、何とかなるか、ぐらいに思っていた。
しかし、とある電気屋で地デジ簡易チューナーを見たとき
その意味するところを知り、これは様子が違うということに
気が付いた。
ビデオデッキの存在価値の大半を占めているとも言うべき、
番組の予約録画が使えないのである。
■ビデオデッキが放送を受信して予約録画をする仕組み
まず、現在の地上アナログ放送の電波を、
普通のテレビがどうやって映像音声にして見せてくれているかを、
非常に大雑把に描くと次の図1のようになる。
図1. アナログテレビによる地上アナログ放送の視聴
図1はVHFの1Ch~12Chまでのアナログ放送の電波から
特定のChを選択して視聴する例である。
VHF帯には、1Ch~12Chの放送が、常に『同時に』
流れている。
テレビは、視聴するチャンネルを選択することにより、
12個のChのうち、『1つだけ』を、
アナログ放送信号から映像と音声に変換して、
画面とスピーカーに伝えている。
では、今回、私がどうにかしたいと思っている、
アナログビデオデッキはどうなっているのだろうか?
実は、基本的に、ほぼテレビと同じである。
テレビの外部入力端子に繋いだアナログビデオデッキの様子は、
非常に大雑把に描くと次の図2のようになる。
図2. アナログビデオデッキによる地上アナログ放送の受信
やはり、『同時に』流れている12個のChのうち、
『1つだけ』を、アナログ放送信号から映像と音声に変換して、
記録装置に入力して、ハードディスクなりDVDなりに
保存しているのである。
因みに、録画を再生した音声映像は、
ビデオデッキの出力端子から映像と音声のケーブルを経て
テレビの外部入力端子へ入力されているので、
テレビ側で『外部入力(ビデオ入力)』を選択すれば
ビデオデッキの映像・音声が視聴できる。
このとき、テレビ側の放送信号の選局や映像・音声への変換は
使われていない。
さて、予約録画のときは、これがどう動くのだろうか?
非常に大雑把に描くと次の図3のようになる。
図3. アナログビデオデッキによる予約録画
たとえば、録画予約として、
「10:00~11:00の間、3Chを録画したい」
という予約を入れていたとする。
そうすると、ビデオデッキは、
内部の時計が10:00になった時点で、
『同時に』流れている12個のChのうち、3Chを選局する。
(図3の①)
そうすると、ビデオデッキ内で3Chの放送信号が
映像・音声に変換され始める。
続けて、記録装置に、変換された映像・音声を
書き込み始める。
(図3の②)
やがて、ビデオデッキの時計が11:00になった時点で、
記録装置の書き込みを止める。
ここで重要なポイントは、予約の開始時間に、
『同時に』流れている12個のChのうち、3Chを選択する
①の動作である。
地上アナログ波放送が続いている限りは、
アナログビデオデッキは、予約時間になると、
複数あるのChの中から、指定のChを自ら選局して
映像を記録することが可能である。
■よく見かける『簡易型の地デジチューナ』とは
一方で、地デジ対応のために売られている
『簡易型の地デジチューナ』の正体は一体どのような
ものなのだろうか。
一般的に、アナログテレビを『簡易型の地デジチューナ』
によって地デジ対応した例を図4に示す。
図4. 簡易型の地デジチューナによる地デジ化
地上デジタル放送の信号も、やはり
『複数のCh』が『同時に』流れているので、
地デジチューナはそのうちの1つを選局し、
映像と音声に変換して出力端子へ伝える。
地デジチューナには、選局のための『リモコン』
が大抵付属している。
地デジチューナからの映像・音声は、
テレビの外部入力端子に入力することになる。
従って、地デジチューナによって『地デジ化』を
対応した場合は、以後、アナログテレビ側の選局は
『外部入力(ビデオ入力)』で固定となり、
テレビの選局は『地デジチューナのリモコン』
で行うことになる。
そうすると、この地デジチューナを使って、
アナログビデオデッキを『地デジ化』すると
どうなるのだろうか?
図5を参照されたい。
図5. 簡易型の地デジチューナによるアナログビデオデッキの地デジ化
地デジチューナの映像・音声出力を、
アナログビデオデッキの『外部入力端子』に入力し、
一見すれば何とか地デジの録画はできそうである。
しかし、録画予約の時はどうなるのだろうか?
アナログビデオデッキの予約録画は、予約時間になったら
自身に入力されていたアナログ放送信号の中から
1つのChを選ぶ仕組みなので、
入力が外部入力のみになってしまうと、ビデオデッキの
機能によって選局することができなくなってしまう。
暫定的な解決方法としては、
予め地デジチューナ側の選局を録画したいChに合わせておき、
ビデオデッキ側には、
「10:00~11:00の間、外部入力を録画」
というような予約を入れることである。
これとて万能ではなく、
複数の録画予約が異なるChであった場合は上手く行かない。
地デジチューナ側の選局にも「予約」機能が必要になってくる。
■全Ch同時にデジ→アナ信号変換するチューナはないのか?
それでは、全Ch同時に地上デジタル放送信号を
アナログ放送信号に変換し続けるチューナーは無いのだろうか?
実は、非常に高額な放送業者向けの機器にそのようなものが
存在するが、原理を見るとおおよそ図6のようになっている。
図6. 全Ch同時にデジ→アナ信号変換する
全てのChについて、それぞれ専用の地デジチューナを以って
一度映像・音声にした上で、
1つのChだけのアナログ放送信号に変換(RF変換)している。
もちろん、Ch1つごとにB-CASカードも必要である。
その上で、最後に全てのChのアナログ放送信号を混合し、
複数Chが同時に流れるアナログ放送信号を再現するのである。
ここまでして、ようやく今のアナログビデオデッキに
そのまま入力できる信号が出来上がる。
■結論
以上のように、アナログビデオデッキで、
これまで通りのやりかたのまま予約録画をしようと思うと、
地上アナログ放送停止後に、どうにかして地デジから
アナログ放送の多チャンネル混合電波を再現する必要がある。
が、1個人でやるには敷居が高い。
素直に地デジチューナ内臓の新しいビデオデッキを
購入したほうが無難なようである。
※一部のケーブルテレビなどでは、図6のような
アナログ波を再現して流してくれるところもあるようなので
そういうところを契約するという手もある。
2011-02-13 00:58
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コメント(1)
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>これとて万能ではなく、
>複数の録画予約が異なるChであった場合は上手く行かない。
>地デジチューナ側の選局にも「予約」機能が必要になってくる。
全ての地デジチューナーを知っているわけではないですが、
うちのチューナーは選局の予約機能がありますよ。
チューナー1台では裏番組は録画できませんが、
7時までNHKを録画→8時からTBSを録画
という予約はできます。
「地デジ ビデオデッキ」などで検索するとこちらの記事がかなり上の方に
表示されますので、検索してきた方がまだ使えるビデオデッキを捨てて
しまうことがないように……と思ってコメントさせて頂きました。
(地デジ化から1年以上経っているので今更かも知れませんけれども)
ちなみに、地デジ対応テレビからビデオテープに録画する場合のつなぎ方と
地デジチューナーからビデオテープに録画する場合のつなぎ方を私のブログで書いています。
by ehb (2012-09-22 14:56)